なぜX(旧Twitter)のアルゴリズム表示は私たちを狂わせるのか
- はじめに:SNSは「流れ」を前提としたメディアだった
- 第1章:時系列が持つ5つの価値
- 1.1 リアルタイム性:今がわかる
- 1.2 文脈の保持
- 1.3 空気感の共有
- 1.4 情報の信頼性
- 1.5 発信者との信頼関係
- 第2章:アルゴリズム表示の正体
- 2.1 滞在時間の最大化
- 2.2 分断と対立の促進
- 2.3 古い情報が混ざる
- 第3章:Xで時系列が失われたことによる悪影響
- 3.1 炎上の再燃・拡大
- 3.2 災害情報の混乱
- 3.3 フォローの意味がなくなる
- 3.4 メンタルヘルスの悪化
- 第4章:アルゴリズムが壊す「偶然の出会い」
- 4.1 何気ないつぶやきとの出会い
- 第5章:時系列を取り戻すための方法
- 5.1 フォロー中タブを使う
- 5.2 リスト機能を活用する
- 5.3 サードパーティクライアント(非推奨)
- 5.4 他のSNSへの移行
- 5.5 アルゴリズムを疑う姿勢
- おわりに:SNSの未来を選ぶのはユーザー自身
はじめに:SNSは「流れ」を前提としたメディアだった
SNS、特にX(旧Twitter)は、元来「時系列性」を前提としたサービスでした。ユーザーが自由につぶやき、他の人のつぶやきをリアルタイムで見る。そこにはテレビのような編集もなく、検索エンジンのような意図的なキーワード入力も不要。ただ流れに身を任せれば、いまこの瞬間に誰が何を考えているのかがわかる。これがSNSの最も根本的で、最も中毒性のある魅力でした。
しかし近年、Xは時系列ではなく「アルゴリズム」による表示が主流となっています。いわゆる「おすすめ」タブです。これは、あなたが「興味を持ちそうな投稿」をAIが選んで見せるというもので、一見すると便利そうですが、実はSNSの本質を根本から破壊する大きな問題をはらんでいます。
この記事では、「なぜSNSにおいて時系列が最も重要なのか」「アルゴリズム表示にはどんな問題があるのか」「なぜ多くの人がストレスを感じるようになったのか」などを丁寧に解説していきます。
第1章:時系列が持つ5つの価値
時系列表示がSNSにもたらす恩恵は、単に「順番がわかる」ことだけではありません。以下のような価値があります。
1.1 リアルタイム性:今がわかる
SNSが他のメディアと最も異なる点は、「リアルタイムで世界の動きがわかること」です。災害、事件、イベント、炎上、ニュース。どれもまずはTwitterで「目撃情報」や「感想」という形で流れてきます。時系列表示なら、それらを「発生順」に追うことができ、状況把握が極めてスムーズです。
1.2 文脈の保持
たとえばAさんの「え、それって本当だったの?」という投稿があったとします。それが何についての反応なのかは、直前の投稿を見ることで理解できます。しかしアルゴリズム表示では、その「前後の流れ」がカットされてしまい、文脈が失われるのです。
1.3 空気感の共有
SNSの最大の魅力の一つは「いまみんながどんな気持ちでいるか」を感じられることです。選挙の日、スポーツの試合、ドラマの最終回、ゲームのリリース日。そういったタイミングでタイムラインを見れば、まるで無数の声が一つの空気を作っているように感じられます。これは時系列表示でなければ味わえない体験です。
1.4 情報の信頼性
アルゴリズムが選んだ投稿は、往々にして「バズっている」投稿です。しかしその多くは誤情報だったり、古い情報だったりします。時系列表示であれば、「今どうなっているか」を一つ一つ確認しながら追えるため、デマや誤解に踊らされにくくなります。
1.5 発信者との信頼関係
フォローしている人の投稿を時系列で見ることは、「この人をちゃんと見ている」という意思表示でもあります。逆にアルゴリズムが勝手に選んだ投稿しか見ないなら、それは「自分の興味」だけに従っていることになり、人との繋がりがどんどん薄れていきます。
第2章:アルゴリズム表示の正体
では、なぜXは時系列表示を捨て、アルゴリズムによる「おすすめ」表示を推進しているのでしょうか?答えは単純です。「収益最大化」です。
2.1 滞在時間の最大化
アルゴリズムは、ユーザーがもっとも長くアプリを開いていられるように設計されています。つまり、「あなたが興味を持ちやすく、反応しやすい投稿」を優先的に表示するのです。これにより、スクロールが止まらなくなり、広告もたくさん見せられるわけです。
2.2 分断と対立の促進
AIが選ぶ「興味を持ちそうな投稿」とは、必ずしも「良い投稿」ではありません。むしろ、人を怒らせたり、驚かせたり、不安にさせたりする投稿のほうがエンゲージメントが高いのです。これにより、タイムラインは無意識のうちに炎上や対立を助長する構造になります。
2.3 古い情報が混ざる
アルゴリズム表示の最大の欠点は「時制がバラバラになる」ことです。1週間前の炎上を「今」見せられたり、既に解決済みの話題が再燃したりします。これによって、情報の整理ができず、精神的にも混乱をきたします。
第3章:Xで時系列が失われたことによる悪影響
ここからは、実際にXで時系列性が失われて起きている問題を具体的に見ていきましょう。
3.1 炎上の再燃・拡大
数日前の投稿が突然バズって「炎上」する現象が増えました。しかも文脈がカットされているため、誤解や過剰反応が起こりやすくなります。本人にとっては「終わった話」なのに、突然また責められるというストレスは計り知れません。
3.2 災害情報の混乱
地震や台風などの災害時、最新情報が知りたいのに、2時間前のツイートが最初に表示される。それを信じて避難せずにいると、命に関わる可能性もあります。これは実際に問題視されており、一部のユーザーは「検索機能」や「リスト機能」に頼って時系列を再構築するほどです。
3.3 フォローの意味がなくなる
Xでは「フォローしている人の投稿」が見たいというのが本来の動機です。しかし、おすすめ表示ではまったく関係ない人の投稿が大量に流れてくるため、「誰をフォローしても変わらない」という感覚になり、ユーザーの定着率が落ちているという指摘もあります。
3.4 メンタルヘルスの悪化
常に炎上、対立、不安、怒り、誹謗中傷といった刺激の強い投稿を見せられることで、多くのユーザーが「SNS疲れ」を訴えています。タイムラインに自分の好きな人たちの平和な投稿が並んでいた時代と比べると、現在のXはまるで戦場です。
第4章:アルゴリズムが壊す「偶然の出会い」
時系列には、もう一つ大切な価値があります。それは「偶然の出会い」です。
4.1 何気ないつぶやきとの出会い
誰かの何気ないつぶやきが、なぜか心に刺さる。そんな体験は、時系列だからこそ生まれるものです。アルゴリズムは「バズった投稿」しか拾わないので、静かな言葉やマイナーな感性はどんどん淘汰されていきます。
第5章:時系列を取り戻すための方法
では、ユーザーとしてこの問題にどう対処すればいいのでしょうか?以下のような対策があります。
5.1 フォロー中タブを使う
Xには「フォロー中」タブがあり、これを利用すれば時系列に近い表示が可能です。ただし、強制的に「おすすめ」タブに戻される仕様が頻繁にあるため、注意が必要です。毎回「フォロー中」に切り替える手間はありますが、情報の質を保つには有効です。
5.2 リスト機能を活用する
自分が信頼できる情報源や好きなユーザーを「リスト」にまとめることで、半自動的に時系列の情報源を確保できます。リストはアルゴリズムの影響を受けにくいため、災害時やニュースチェックに非常に有効です。
5.3 サードパーティクライアント(非推奨)
かつてはTweetDeckや外部クライアント(Janetter、Featherなど)を使って時系列表示を維持する方法がありましたが、API制限によって多くが機能しなくなりました。現在ではこの方法はほぼ封じられています。
5.4 他のSNSへの移行
Bluesky、Misskey、Mastodon、mixi2など、時系列表示を重視したSNSが登場しています。これらは分散型やオープンソースが特徴で、現在のXに不満を持つユーザーの一部が移行しています。ただし、ユーザー数や投稿量はまだXには及びません。
5.5 アルゴリズムを疑う姿勢
もっとも重要なのは、「表示されている投稿は、自分の意思で選んだものではない」という意識を持つことです。アルゴリズムが提示するものは、必ずしも「自分にとって大事な情報」ではありません。そのことを認識するだけでも、SNSとの付き合い方が変わってくるはずです。
おわりに:SNSの未来を選ぶのはユーザー自身
時系列表示は、SNSの「生の声」「現場感」「空気感」をそのまま伝える重要な仕組みでした。それを失った今、Xが感じさせる違和感は単なる仕様変更ではなく、SNSというメディアの本質が揺らいでいることの表れです。
もちろん、アルゴリズム表示にも利点はあります。知らなかった話題に出会える、エンタメ的な楽しさがある、などです。しかし、それはテレビやYouTubeに任せても良いのではないでしょうか。
我々が本当にSNSに求めていたのは、「リアルな人間の、リアルな感情の、リアルな流れ」だったはずです。それを守るためには、声を上げること、行動すること、そして時には離れることも必要です。
SNSの未来を決めるのは、運営ではなく、使い手である私たち自身なのです。
なのなの
元取締役、元音楽家、元SE、元レトルトカレー評論家、元ゲーム音楽家(SM調教師瞳シリーズなど)
現在は日本の鉄道事故専任ライターをしているなの
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