最近、物価高騰並びにトランプ関税の影響で政府内外で「食料品の消費税を引き下げるべきだ」という議論が活発になっています。
物価高騰が続く中、生活に直結する食料品の負担を少しでも軽くするため、消費税を減税しようという意図は理解できます。
しかし、たとえ食料品の消費税が実際に減税されたとしても、私たち消費者が実感できるほど食料品の価格が下がるとは限らない、というのが現実です。
なぜなら、「値段を上げるとき」と「値段を下げるとき」のお店の心理には、大きな違いがあるからです。
今回は、「消費税減税=食料品値下げ」という単純な図式が成り立たない理由について、掘り下げて考えていきます。
値上げはすぐできるが、値下げには慎重になるお店たち
スーパーでもコンビニでも、最近は本当に食料品の値上げが目立ちます。
卵、牛乳、パン、米、野菜……どれもこれも、数年前に比べて確実に高くなりました。
これらの値上げの背景には、原材料費の高騰、エネルギー価格の上昇、物流費の増大など、さまざまな要因があります。
お店側にとっては、これらのコスト増を吸収するのは限界です。
だから「値上げ」は、かなり早い段階で決断され、即座に価格に反映されます。
これはある意味で当然です。赤字を垂れ流してまで現状維持するわけにはいかないからです。
一方で、「値下げ」となると話は別です。
たとえば、仮に仕入れ価格が下がったり、消費税が減税されてコスト負担が減った場合、理屈の上では値段を下げてもよさそうです。
ですが、現実には、お店は値下げをちゅうちょする傾向が非常に強いのです。
実はインターネット調査もしてあって、値下げには消極的
以下の期間中に店舗の経営者に対してインターネット調査をしてみた
- 2025年4月17日~23日
- 食料品を扱う店舗の経営者、もしくは飲食業の経営者
- 総合計:47サンプル
この結果、値下げに積極的ではない企業が70%以上となるものの、
食料品・そのうちお米を扱う企業にては、お米だけでも値下げしたいという意見は37人(80%前後)が回答していた
「値下げ=利益の減少」というシビアな現実
値下げをするということは、単純に言えば「売上が減る」ということです。
もちろん、値下げによって販売数が増えればトータルの利益は増える可能性もあります。
しかしそれはあくまで「うまくいけば」の話です。
今の日本社会では、人口減少、節約志向の高まり、競争の激化などにより、
「値下げすれば爆発的に売れる」という保証はほとんどありません。
つまり、
値下げ→売上減→利益減
売上増にはつながらないかもしれない
というリスクを抱えることになります。
だったら、「せっかく利益率が上がったのだから、このまま維持しよう」と考えるのが、経営的には自然です。
それが、減税されても価格が下がらない最大の理由のひとつです。
値札を貼り替えるコストすら惜しまれる現場
さらに現場レベルでは、値札を変更するコストや手間もバカになりません。
たとえばスーパーの場合、
店内POPやプライスカードの張り替え
レジシステムの価格変更作業
チラシ・広告・Webサイトの価格訂正
など、細かい作業が山のように発生します。
これには当然、人手もコストも時間もかかるのです。
値上げのときは「しょうがない、赤字になるよりマシだ」ということで、多少のコストをかけてでも実施されます。
しかし、値下げは「やらなくても誰も怒らない」のです。
「以前より安くならない」と不満に思う人はいても、値上げ時ほどの強い反発にはなりません。
このため、「わざわざお金をかけて値札を直すほどのインセンティブがない」という判断がされがちです。
減税分をこっそり自社の利益に吸収してしまう
さらにシビアな話をすると、
一部の企業や店舗は、減税分をそのまま「自社の利益」として吸収してしまう可能性もあります。
たとえば、消費税が2%減税されたとしても、価格を据え置いていれば、
売上の中から実際に納める税金が減るため、利益がそのぶん増えます。
法律上問題があるわけではありません。
あくまで価格設定は自由なので、企業が「利益を確保する」という選択をするのは普通の経済行動です。
しかし、消費者側から見ると「減税されたのに恩恵がない」と感じるのは当然でしょう。
そもそも「仕入れ価格」が下がらない
もうひとつ重要なポイントがあります。
それは、消費税が下がったところで、そもそも仕入れ価格自体があまり下がらない可能性がある、ということです。
現在の食料品価格の高騰は、原材料費、エネルギー費、輸送費など、世界的な要因に起因しています。
つまり、税金を少し下げたくらいでは、根本的なコスト構造はほとんど変わりません。
このため、卸売業者やメーカー側も「そんなに値下げできない」という事情を抱えています。
小売店が仕入れる段階であまり値段が下がらなければ、当然、店頭価格も下がりにくくなるのです。
「価格据え置き」は悪なのか?
ここまで読むと、「お店はずるい! 減税を反映しろ!」と思うかもしれません。
ですが、現場の立場に立って考えれば、ある程度理解できる面もあります。
小売業は今、猛烈な人手不足に苦しんでいます。
物流費やエネルギー費も高止まりし、利益率はギリギリ。
ちょっとした価格改定でも、経営に大きな影響を与えかねません。
また、今後、再びコストが上がる可能性も高く、
「今は無理に値下げせず、備えに回したい」という企業心理も働きます。
つまり、価格据え置きは「強欲」だけでなく、「生き残るための戦略」でもあるのです。
まとめ:消費税減税は即価格低下にはつながらない
以上をまとめると、たとえ政府が食料品の消費税を減税しても、
店側が値下げをためらう心理的・経済的な要因
値札の変更コスト
減税分を利益に吸収する動き
仕入れ価格自体が下がらない現実
などにより、私たち消費者が期待するほどには価格は下がらない可能性が高い、ということになります。
もちろん、良心的な企業や店舗もあり、部分的には値下げが実施されるかもしれません。
しかし、「大幅な食料品値下げ」という展開を楽観視しすぎるのは、少し危険です。
減税は歓迎すべき施策ではありますが、それが即座に私たちの財布を直接潤すとは限らない。
この現実をしっかり認識した上で、冷静に状況を見守る必要があるでしょう。
なのなの
元取締役、元音楽家、元SE、元レトルトカレー評論家、元ゲーム音楽家(SM調教師瞳シリーズなど)
現在は日本の鉄道事故専任ライターをしているなの
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